2019年4月27日土曜日

音楽は関わりの中で生まれる

目眩がしている。

一人の天才が独自の世界観を具現化し感動的な作品を創り出す、という物語は芸術に対する(根深く浅い)イメージとして通用している。その物語は確かにメディア向きでキャッチーだ。

しかし実際は、人と人との関係の中にのみ「パフォーミングアーツ」は生起すると今では思っている。自分が今携わっているのは音楽(と障害福祉)というフィールドだが、音楽は作曲家や演奏者の内側から外側へと伝わるというような「近代的な」世界観ではなく、演者と聴衆の関係の中で生起する流動的なエネルギーだと思うからだ。

つまり、ネットワークの中で音楽が起こるのであって、特異な一点から一方的に伝わるのではない。その構図はダンスにも当てはまると思う。

冒頭の話に戻ると、「振付家」や「演出家」が特異な一点として「作品を創り出す」という世界観に、作家の古びた妄執と、そこにしか活動の支点を作れないダンサーの悲劇を感じる。それらと距離をとる為には、自分たちが新たなネットワークを構築していくほか手段はない。