最近、呼吸音での「即興」というものが俄然面白くなってしまって、それも熱狂や混沌があるような種類のそれではなくて、いかに平穏に呼吸してる音だけで時間を紡いでいけるか、というようなことに日々取り組んでいる。
今日、リハーサルしてて自分が理想としてるような即興に一歩近づけたという手応えがあった。なんの制約も計算もなく、丁寧に時間のベールを重ねていった先に、結果も盛り上がりもない、冒頭を反復するなどの形式もない、取り留めのない38分間の呼吸音の演奏は、なによりまず自分が心地よいものであった。
作曲作品"kq"では、自分の呼吸を絞っていき、自信を追い込むことによってヤマ場を作るという構造に頼っていたので、自分自身が演奏して心地よくなれるというのは、それだけで収穫祭したいくらいだよ。
呼吸と音から連なる思考体系として、形式が決まっているある種の瞑想がある。禅では「数息観」というものがあり、噛み砕けば、呼気に合わせて数を数えていくという瞑想法なのだが、精神医学では脳波の測定などが行われ、副交感神経の活発化などの効果が実証されているらしい。
しかし、私が上演する呼吸音による音楽"kq"は、プレビューの時点では、私自身がまず自分の呼吸を追い込んでいく、絞っていくパフォーマンスであったことも大きく影響して、頂いた感想は「ハードコア」「自分も苦しくなった」「原初的なライブのようだった」というような激しい感想が多く見られた。
そういういきさつもあり、いまは呼吸音しばりで即興をやっている。
どこを目指しているのか、まだ自分でもわからないけれど、平坦な呼吸の持続によってもたらされる静寂、のようなもの、には触れてみたいと思っている。それは"kq"を上演し続けているだけでは至らないだろうという直感のもと、いまは即興をしています。そしてまた"kq"にも戻りたいと思う。
5/14(土)、水道橋Ftarriというユニークなお店でライブをします。20時開演です。
あと、"kq"のCDがBASEで買えます。税込1,000円+送料200円です。
https://scscs.base.shop/
私は、水平方向には小さな革命を繰り返し、垂直方向には鋭利に切り込んでいきたいと思っています。今後ともよろ。
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