東京公演の上演、トーク・セッション、クラファンリターンとしての稽古場上演・感想会、トーク・セッション(ゲスト原島大輔氏)などを経て、改めて"kq"を捉え直し、新たな実践を重ねようと考えています。ので、その指向性の精査と創作メモとして以下を共有しますね。
"kq"譜面(PDF)、前提として譜面は呼吸方法の具体的な指示とイメージを伝えるための抽象的な物語文で構成されています。
反復回数の指示はない、心地よいだけ繰り返すという大枠のディレクションで、そのために実演する度に通る道筋が、毎回少しづつ違います。(ポイントは決まっているが、そこにどう達するかが自由、という感じですね)
<現状分析>
a.擬似瞑想として
- 「現象」としての呼吸音
呼吸・呼吸音の、ただの自然現象(〜川のせせらぎのように、風が木の枝を揺らすように)としての側面を忘れずに。その面は強調してもしすぎることはない。
- 観客の捉え方、観客への効果
観客も自身の呼吸を意識する
「自身が整う>呼吸音>聴覚を介して他者に伝播する」という順序ではなく、自分が整う(〜他者や環境への「おそれ」が減少し自意識の壁が薄くなる)ことによって観客にも自身の存在への内省を促す
単調な反復作業的な要素によって生まれる隙間・余白が観客に深い思考(=瞑想?)を促す
b.環境とのセッションとして
- 「いま」の瞬間に集中する
出音と状況、環境音、目的地を踏まえながら、常にタイミングと出音を図り続ける
同時に、引いた視点を持つ 。向かっている方向性について意識する
- 交渉する
観客だけでなく環境や状況、些細な変化を捉え、それを上塗りしないような音量、パフォーマンスで交渉=セッションする
「弱い存在(〜小音量、かつすることが既に決まっているから)」としての「表現」について模索、実践する
ex.抜ける音域や他の音、状況が静まるタイミングを図る
観客は余白の多さに対し退屈しても良い、がその集中を惹きつけ続けることが可能になる「静かなる主張」を意識し続ける
- 背景のような音 / 顔の表情、視線
自意識の拡張、他を上塗り、圧するような音での表現ではなく、動物の鳴き声のように「通る」が、うるさくない(〜状況に馴染む)音
呼吸の音が先行することで「非人間的(〜対人コミュニケーションとしての表情から逸脱する)」な表情になる
状況などに釣られて上演中に視線がうろついてしまうと気になる(=人間的?)
<目標>
- 自意識を薄くする技術を磨く
自分(「佐々木すーじん」)ではない者として呼吸したい、行為したい
どこまでも自然現象を目指す、自意識の拡張ではない音・行為として興りたい
- 弱音での交渉に熟達する
どの音域が抜けがいいか?などの判断力、即興対応力の向上
参考リンク
東京公演感想 & 記録映像 仮定の微熱WEBサイト
前回のブログエントリ "kq"に関する覚書0803
"kq"広報ページ "kq"とは?
CD & 譜面 通販 scscs WEB Shop (BASE)