2025年8月29日金曜日

アクセシビリティや障害者割引について思うことなどを

先日、今年の自主企画公演、仮定の微熱"kq Duo"の情報を公開しました。
昨年に引き続き、アクセシビリティ情報も公開しています。(リンクうまく貼れない...もうだめだ)

去年の仮定の微熱"kq"東京公演のアクセシビリティを大きく更新できていないのですが、去年のこれは友人であり尊敬するアーティストである武本拓也くんの京都芸術センターでの公演『庭の話』から一部を無断で借用、アレンジして、事後的に「これ作る労力大変だったよな...」と反省して武本くんやクリエーションメンバー・出演者である中谷優希さん(アクセシビリティの勉強会などやられていたので)に、無断で借用したことを伝え謝罪の連絡をして、全く問題ないですよ、とご快諾を得たものです。

イベント主催側はアクセシビリティをどんどん公開した方がいいよね、と思っているけど、つまり私も他イベントの文言を借用していたり、ツアー先などに関しては自分が現地に行ってないからノータッチだったりと、なにも威張れないのです。

ただ可能な限り公開したいと思っている。せめて「鑑賞に際して必要なサポートがあれば、お気軽にお申し付けください」の一文だけでも。(自分が悩んでる立場だったら「相談できそうかどうか」だけで、すでに大きなハードルだから)

というか、日本だったら文化庁?総務省?どっかガイドライン出してるのかな?と思って検索。ウェブにおけるアクセシビリティに関するページが大量に出てきて既になかなか難しい。ガイドブックがあった。2020年、5年前のか。

アクセシビリティに関する、基本的な態度として「完璧なものは存在しない(ので、相談やサポートする姿勢を明確に伝えるのが大切ですよね)」というのは、私もようやくわかってきたところです。だから、上記のガイドブックのように、それぞれの特性やどういう傾向があるか知ることは大切だが、それによって全てカバーできるわけではない。

たとえば、私は鬱病で2級の精神障害者手帳を持っているけど、それはつまり当日になって体調が悪くて出発できないリスクを常に抱えている状態で、チケットは売り切れるかもしれないので予約はしたい、だけど当日精算にしたい、というニーズがあるわけです。

それは会場や運営スタッフによる物理的・精神的障害というより、企画制作側に理解してほしいニーズ(近年はクレジットカードなどでの事前決済のみの舞台公演もあるので)なのですが、上記のガイドブックにはそういうことは書いてない。

アクセシビリティを公表することで排除を明文化してしまうのではないか?というような葛藤もあったが、ただの非障害者マジョリティ側の幻想でしかなかった(なぜなら明文化するしないに関わらず、さまざまな理由から対象外になってしまう人たちをゼロにはできないので)な、むしろ明文化しないことで問い合わせるコストを相手に支払わせているな、と今では思う。

あと、アクセシビリティや障害に関連して、おそらく多くの非障害者が知らないことをひとつ。「障害者雇用」とかあるから最低賃金くらいの収入はあるんでしょ?と誤解しがちなんですけど、一般企業の障害者雇用の多くは求人の時点で「これは身体障害しか想定してないね...」みたいな求人がほとんどで、精神障害者が「毎日出勤することは難しい」と思っていても、少なくとも私はそれに応えてくれる求人を見つけられなかった。

でも、私はバイトするなら障害者であることを隠せるし、多くの職場でそうしてきたけど、もちろん欠勤が続いて気まずくなると辞めるしかなくなるわけで。そうやって、障害当事者みんなが最低賃金が保証される仕事に就けるわけではないのです。

また、特性や程度によってはガイドヘルパー(外出時の付き添い介助者)なしに外出でいない人もいる。その場合、ガイドヘルパーの交通費や入場料は、もちろん障害当事者が支払う、ということは意外と知られていない。

もちろん、どこまで公に、オープンにしていきたいかという問題は、公共劇場主催ではないイベントだと作家側制作側が譲れない部分などは大切なはずだし大切にするべきで、どこで線を引くかの線引きの問題になると思うんだけど(たとえば、私だったらネット配信はしたくない、とか)、「障害者は割引があるからお得だ」というような単純なことではないんだ!ということはあまり知られていない気がするので、ここで言及しておきます。

というのと、どこで線を引くか?が曖昧だとさ、結局、来て欲しかったはずの相手に問い合わせや援助要求のコストを支払わせることになる、ということは、イベント主催側はみんな意識したほうがいいんじゃないかと思っている。オチはない。