2021年6月23日水曜日

狂おしい音に近づく為の素描と、発表のお知らせ

今週末土曜、6/26、秋葉原CLUB GOODMANにて開催される音楽イベント"OOO! vol.8"に出演します、会場で観ることもできます、無料の配信もあります、配信リンクはこちら

出演時間は、18:25-45  * 17:25-45に変更になりました(6/24追記)、なにぶん出演者が多いので、しかも猛者ばかりと思うよ、できれば時間に余裕を持ってご視聴ください、他の出演者さんも面白いと思うよ。

オファー時に、配信あるので映像と音声で観ても質が落ちない作品というオーダーがあり、Bob Dylanの"Subterranean Hpmesick Blues"のカヴァーをすることにしましたよ。



2分強の曲を20分に引き延ばす、まぁ、だから、カヴァーとは名ばかりで、いうなれば原詩を現代風に意訳したモノローグ演劇、いま22分あって20分に収めないといけない。

オリジナルのメッセージは明快で、反権力、真っ当な人生を降りて路上に出よう、というような主旨のことを軽快に歌っているのだけど、現代日本にも思い当たる要素もあれば、もう時代遅れというか、真っ当な人生降りて路上に出て、何もないことに不安になるから皆んなまた元の生活に帰って行ったわけで、もう少し私個人の内面から敷衍できるようなテキストに磨き上げるために、これも日々更新している。

参考:Subterranean Homesick Blues lyrics

奇を衒っても、正面からぶつかっても、ふざけ倒しても、終始ひとりのひとり芝居、モノローグのみで20分保たせるのは至難の業、日々失敗を重ねて、更新更新、子供を保育園に預けている隙に、リハーサルを繰り返してるのだが、昨日ついにパートナーに家の外で誰かが変なことを喚いているのかと思ったと言われる始末。

狂人の喋りというのは、ひとつ、魅力的ですね、やっぱり。狂い方。

齋藤徹さんという2019年に亡くなられた高名な、コントラバス奏者、作曲家、私が最初で最後に齋藤さんの生演奏に触れたのは2005年頃、いまは無きシアターイワトで工藤丈輝さんと若林淳さんのデュオ舞踏公演での生演奏、私は終演後、齋藤さんのCD"Invitation"を購入し、今でもよく聴いています。

CDは、多重録音なし、コントラバスのみのソロ演奏が11曲、静かに糸を手繰りながら、時に激しく逸脱するような、狂おしい音。

コンセプトなり曲想なり、演奏が何か形をなそうとする瞬間と、それが崩れるギリギリのところにまで跳躍する、逸脱する、錯乱する、その緊張感とを、ゆらりと不穏に往来する。ある種の不安定さ、自分自身から立ち上る予測を、自分で切り離していくような齋藤さんの演奏を、自分のパフォーマンスに取り込めないか、というようなことを考えている。

テキストが(自分で書いておいて)非常にシリアスということもあり、距離を置けばシニカルに響くし、ヘラヘラやれば当事者を傷つけるような言葉になってしまう。あくまで原詩の大意は汲んでいるつもりだし、跳躍や逸脱が、つまり自分のパフォーマンスにどのように反映可能なのか、暗中模索なのだが、いやはや。

テキストの音読において、迷子を回避するために手繰る糸は、テキストそのものだと捉えるのが妥当だが、狂おしい瞬間を立ち上げる為には不安定な均衡を保つ必要がある。糸にはぶら下がっていないといけない、テキストに安住してはいけないし、テキストを安定させてはいけないのだ、と思う。糸は、あくまで予測を開示する為にあるのであって、その予測は破綻の為の伏線に過ぎない。糸にぶら下がりながら、予測に収まらない動機を発露するような身の投じ方をすること。

ウンウンと、とりとめもなく思考が散逸しそうなので、ここまでの仮説を自分の今度のパフォーマンスに反映させようと思う、という宣言を以って締めます。

乞うご期待。