2/3、午前10:48に子供がひっそりと世界に生まれ出てきた。生まれたての赤ちゃんというのは、泣いたり笑ったりモゾモゾと動いたり、ままならない存在である。ただ「存在」することが大事な仕事であり、周囲は慌てたり笑顔になったりする。
正直、自分は今生では子供を持てないだろうと長い間確信していたこともあり、赤ちゃんに対して自分がどのような感慨を抱くか、もっと言えば愛情を持てるかどうか不安があった。
その不安は初対面で吹き飛んだ。こんなに愛おしいものが、自分と地肉を分けて、こんなに愛おしいものが、必死に母体から離れて、存在できた、それは奇跡でしかなく、不覚にも涙目になっていた。
幸せになろう、と生まれて初めて思った。パートナーと子供と3人で、飛びきり幸せになってやろうと思った。物事に執着せずにいつでも捨て身になれる身軽さを、自身の根底を貫くポリシーとして35年間生きてきたが、身軽さ、他者へのヨスガ、執着、全て抱きかかえて生きていきたいと思った。
30代半ばの音楽家としては決して華々しいキャリアがあるわけでもなく、第一線を退けばすぐにでも忘れ去られるような存在でしかないが、私は何も諦めない。もっと何かできるはずだ、という自分の衝動に率直であり続けたいと思う。
「何か」はまだ遠くて、ギリギリ視認できるくらいですが、ようやく見えてきたところでもあります。これからも歩み続けますので、皆様のお力添え、どうぞよろしくお願い致します。